11期生田村さんからメール頂きました。ありがとうございます。
11期生の田村昌弘です。
いま、弘前れんが倉庫美術館で開催中の「りんご前線−HirosakiEncounters」(2022/1/30まで)はとても興味深い展示です。ぜひ人間行動コースにゆかりのある方々にみて欲しいと思います。
■ 弘前れんが倉庫美術館(2020.7 Open)
https://www.hirosaki-moca.jp
展示「りんご前線」は、弘大教育学部で活躍された村上善男さん、また現在も教壇に立たれる塚本悦雄さんらの美術作品の展示の最後に、冊子「津軽学」にまつわるコーナーが大きく取られています。
「津軽学」は東北学を提唱した民俗学者・赤坂憲雄氏の呼びかけで東北各地に展開。地域学や民俗学の視点を軸に、歴史、宗教、民俗、社会、政治など様々な事象を、領域を横断し、幅広い分野の専門家や、様々な立場の人たちが、研究し、議論し、発表する場として作られたもののようです。冊子は2005年に創刊、以降年に1冊程度を発行し、2019年までに14号が刊行されました。
この津軽学には、山下祐介先生、作道信介先生、田中重好先生ら、人間行動コースやその後継となる系統の先生方が、座談会への登壇や執筆者として数多く登場します。美術館の展示のなかにも「りんごが育つ土壌(テロワール)を読み解く」先生たちの発言がいくつも取り上げられてます。それらのなかには実験演習などをとおして、私たちが共有してきたキーワードもいくつか見られ、懐かしい思いで鑑賞してきました。
特に私たち世代で忘れられないのが、ちょうど30年前「りんご台風」といわれた台風19号の際に重好先生の研究室で編集、出版した記録作文集「りんごの涙」です。展示では、後に司馬遼太郎が「街道を行く北のまほろば」の結びの章として取り上げた本書に関することが大きく取り上げられていました。「りんごの涙」については、「津軽学第9号」(2014年)のなかで、平井太郎先生が「【論考】20年後の『りんごの涙』」として、当時の子どもらのその後についても聞き取りなどを行っています。ぜひ図書館などで手にとってご覧頂きたいです。
また「津軽学」に関する企画や冊子の発行を陰ながら支えてきたのは、青森の「企画集団ぷりずむ」、後に「ものの芽舎」が引継いだました。ここで編集を担当したのは、人間行動コースの後継となるゼミのひとつ山下祐介研究室の卒業生、大野あい佳さんです。また、今回の美術館の展示に関する企画運営に携わるのは、小杉在良さん。彼もまた我々の後継ゼミの出身だそうです。「人間行動」の名はなくなりましたが、その系統の人たちの活躍に触れ、本当にうれしくなりました。(2021.11田村記す)